「詩音」 そう、詩音だ。 「なぁに? 蒼くん」 「なんでもない。呼んだだけ」 何それ~、と笑う詩音が、愛しくてたまらない。 里緒の右手を、おれが。 里緒の左手を、詩音が繋いで、3人並んで夕焼けの道を歩く。 「ママぁ。だっこして~」 里緒は、疲れたのか詩音にそう言った。 ………なんで、おれじゃなくて詩音なんだよ……。