「沙良!」 私の隣で必死に沙良ちゃんの名前を呼んでいるのは、宮川先生。 そして、ベッドの向かい側で沙良ちゃんの手を握っているのは沙良ちゃんのお母さんだ。 沙良ちゃんのお父さんは、沙良ちゃんが生まれて間もないときに交通事故で亡くなったらしい。 「ほんと、に……ありが、とう………」 沙良ちゃんは、そう言うと目を閉じた。 ピッ、ピッ、ピッ、ピ──────。 病室に、機械音が響く。