「ごめん、蒼くん! 私行かなきゃ!」 「ど、どこに? 詩音、どうした?」 「とにかく、行かなきゃ! ごめんね、蒼くん」 私は、そう言って走り出した。 後ろから、蒼くんが“詩音!”と私の名前を呼んだけれど、私は振り返ることもせず走る。 そんな………。 そんな事って、ないでしょ………? 『さっき、優希から電話が来たんだけどね─────』 お兄ちゃんから電話が来た。 その事とお母さんの口調で、悪い知らせじゃないかって思ってしまった私。