「蒼くんのそういうところ、大っ嫌い!」 「詩音………」 蒼くんは、悲しそうな、傷ついたような瞳をしていた。 「………ごめん、詩音。おれ、そんなに自分の事ばっかり喋ってたのか」 私は、そう謝る蒼くんに背を向け、走って教室へ向かう。 なんで、蒼くんが謝るの? 蒼くんはなにも悪くない。 悪いのは、勝手に蒼くんのことを“自分の事ばっかり喋る”なんてデタラメを言って、おまけに大っ嫌いなんて言ってしまった私だ。