不意に、半年記念の日に行った海で、蒼くんが言っていた言葉を思い出す。



“大切な人を失うのが、怖い”


“詩音は………おれの前から、いなくなったりしねーよな………?”



そうだ。



もしも、私の手術が成功しなかったら。


私が死んでしまったら。



蒼くんはひとりになってしまう。




“ずっと、そばにいるよ”



あのとき言ったこの言葉に、迷いはなかった。




でも、もし。


もしも、離れる運命になってしまったら。



私たちは、運命に逆らえるのだろうか──────。