「おれさ」 蒼くんは、空に向いていた視線を私の方に向けた。 「詩音が笑ってるときが、一番幸せ」 蒼くんは、そう言って頭をくしゃくしゃっとかいた。 私が笑ってるときが、蒼くんの一番の幸せ………。 それだけ蒼くんの大切な存在でいられることが、嬉しい。 「私も、蒼くんの笑顔が大好き」 私がそう言うと、蒼くんは照れたようにうつむく。 それから、ふたりで手を繋ぎながら、ずっと海を眺めていた。