そのとき、向こうの方に人影が見えた。 こっちに向かって手を振るのは、蒼くんだ。 「詩音ー!」 「あっ、蒼くん!」 私は、蒼くんの方に駆け寄った。 「あら、蒼くん。早いわねぇ。今日は詩音をよろしくね~」 お母さんは、そう言うと蒼くんに微笑んで玄関のドアを開け、家の中に入っていった。