「でもね、詩音とおしゃべりしたり、一緒に読み聞かせたりしてるときはね、本当に楽しかったんだよ」 「………沙良ちゃん………」 沙良ちゃんは、私の手をぎゅっと握りしめた。 私もその手を、握り返す。 「だからね、詩音。本当に感謝してるんだ」 沙良ちゃんは、もう一度私を見て言った。 「今日だって、沙良が楽しめるように、って連れてきてくれたんでしょ?」 私がこくりと頷くと、沙良ちゃんはありがと、と言って微笑んだ。