私は、ゴール位置で息を切らせてガッツポーズをしている蒼くんに駆け寄った。 「蒼くん!」 「詩音!」 蒼くんは、私の方まで走ってくると私の頭をぽんぽん、と撫でた。 「お疲れ、詩音」 すると、後ろからC組のアンカーの奈津ちゃんが話しかけてきた。 「蒼………あんた、走るの速くなったね」 「そうかー? 奈津が遅くなったんじゃねーの?」 「はぁっ!? 陸上部なのに、そんなわけないでしょ!」 奈津ちゃんと蒼くんの会話に、自然と頬が緩む。