それから、私と蒼くんは放課後よく仕事で残るようになった。
「山下。ちょっといいか」
私と蒼くんがいつものように教室に残っていると、宮川先生が急に私のことを呼んだ。
「あっ、はい」
なんだろう。
怒られるのかな?
私、そんな悪いことしたっけ。
それか、体育祭のことかな?
でもそれなら、蒼くんも呼ばれるはずだし。
いろいろな考えが頭を巡った。
「いきなり呼び出してごめん。沙良のことなんだが………」
沙良ちゃんのこと?
ふと、嫌な予感がした。
宮川先生の顔が、普通じゃなかったから。
とても苦しそうな、何かに耐えるような表情だった。


