「あー、詩音。おれ、もうそろそろ行かないと」


しばらくみんなで話していると、蒼くんが時計を見ながらそう言った。


「あっ、そっか。蒼くん………頑張ってね」


「おう、さんきゅ」


蒼くんは、私の髪をくしゃくしゃにしながらそう言った。


たぶん私の頭を撫でているつもりなんだろうけど、撫でるどころか髪が乱れるだけで………。


でも、そんな少し乱暴な蒼くんも私は大好きだ。


そして蒼くんが病室を出ていくと、また千尋と舞が冷やかし始めた。


「もう、またいちゃついて~。愛されてますねぇ~」


「愛されてますねぇ~」


舞が言った言葉を繰り返す千尋。


さっきも同じようなことを言われた気がする。


「………もうっ! しつこいっ!」


私がそう言うと、舞が叫んだ。


「わぁ~、詩音様のお怒りだー!」