「………ごっ……ごめんね………なんでもないの……」 沙良ちゃんは、涙を拭いながら小さな小さな声でそう呟いた。 ”なんでもないの“ 泣きながらそう言う沙良ちゃんは、全然なんでもないように見えなかった。 「沙良ちゃん、どうしたの…………?」 「…………本当に、なんでもないから………大丈夫……」 「ねぇ………何かあるなら話して? なんで沙良ちゃん、泣いてるの………?」 私がそう言うと、沙良ちゃんは私の手を握っていつもの窓際の席に向かった。 席に座ると、沙良ちゃんは話し始めた。