「詩音。おはよう」 それからは、私が図書館に来ると沙良ちゃんは必ずやってきた。 窓際の私の隣の席に座り、二人でお喋りをするのが私たちの日課になった。 「おはよう、沙良ちゃん」 沙良ちゃんは点滴の時間もあってあまり長くは図書館にいられないけど、沙良ちゃんと話している時間はすごく楽しい。 でも、お互いに自分の病気のことを話すことはなかった。 なんでだろう。 沙良ちゃんの瞳は、いつもどこか悲しげで。 沙良ちゃんはひとりで何かを抱え込んでいるんじゃないかって。 何となくそんな気がした。