「あっ、なんかごめんね。沙良ばっかり喋っちゃって」 沙良ちゃんは可愛らしい大きな目を三日月型にして苦笑いをした。 「ううん、大丈夫」 「それじゃあ、沙良点滴の時間だから、また明日ね」 そう言ってあっという間に去っていた沙良ちゃん。 それだけを言いに、わざわざここまで来たのかな。 私はドアの向こうに消える沙良ちゃんを見送ると、また本に目を移した。