「それじゃあ、詩音。話があるから、こっちの部屋に来てくれるか?」


お兄ちゃんが深刻な顔をしてそう言った。


「うん」


その言葉に静かに頷くと、私はベッドを降りて車椅子に乗った。


一週間も眠っていたのだから、体が思うように動かないのもそのはずだ。


「詩音、動かすよ?」


蒼くんが、ゆっくりと車椅子を押してくれた。


「蒼くん、迷惑かけてごめんね」


「そんなこと、気にするな」


優しくそう言ってくれる蒼くんが、どうしようもなくかっこよかった。


そして、前、”心臓病だ“とお兄ちゃんに告げられた部屋に連れてこられた。


「蒼くんも、入って」


私を部屋に入れ、出ていこうとした蒼くんを私は止めた。