「詩音、はよっ」
え?
「蒼くん…………?」
なんで蒼くんが、ここに?
「詩音がなかなか来ないから、歩実に訊いて家まで来たんだよ。どうせ寝坊したんだろ」
大当たり。
「そ、その通りです…………」
私が俯きながら言うと、蒼くんは笑った。
「詩音、可愛いじゃん」
蒼くんのその一言だけで私の顔は真っ赤になったと思う。
蒼くんの私服は、なんだか見慣れなくて、でもかっこよかった。
「ほら、行こうぜ」
蒼くんは、そう言うと私の手を握った。
その瞬間、胸がドキッと高鳴る。
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