☆決心☆

「それからが大変だったんだよ。
お父さんの親の名義でアパート借りて、一緒に暮らし始めたんだ。お父さんもお母さんも学校が終わってから、夜遅くまでバイトしたよ。もちろん学校には妊娠してる事は内緒にしてね。もっとも担任にはばればれだったけどね。
苦労したけど負けなかったよ。それであたしの二十歳の誕生日に入籍しちゃったんだ。」
「担任にばれてたのに退学とかにならなかったのはどうして?」
「担任はね、凄く話のわかる先生だったんだ。今も感謝してる。それとね、その時の子供があんただよ。お父さんとお母さんは苦労して生きてきたけど、あの時の選択に後悔した事は一度もないよ。今もこれからもずっとね。」
初めて聞いた。お父さんとお母さんの過去。
「卒業式の時はもう六ヶ月だったから大変だったよ。もっともその時には、クラス中にばれてたけどね。
知佳?崇史君?何がしあわせかよく考えてみなさい。それからあなたたちが今出来る事を二人で相談して決めなさい。それから学校は続けなさい。分かった?
さあ、お父さんが帰ってくるのをまちましょうよ。」
あたしは何も言えなかった。