「行ってきまーす」

行ってらっしゃい気を付けてねと笑顔で見送る母を背に、美味しそうなサンドイッチを持ち玄関を出ると、そこには親友の莉子の姿。


「おはよー美優。遅い」

ふてくされた顔で私をジロリと軽く睨む莉子。


「ごめんごめん!あ、ほら!サンドイッチ!1個あげるからさぁ~」

とご機嫌とり。これもいつもの日課である。

「え!やった~。美優ママお手製サンドイッチだ!私美優ママが作るサンドイッチめちゃくちゃ好き~~~!!」

お互いアハハと笑いながら学校までの道のりを歩きだす。



「そーだ。ねぇ、美優聞いた?今日転校生くるらしいよ?」

サンドイッチをもぐもぐしながら話しかけてくる莉子。

「え?聞いてない!てかそもそも何でこの時期?新学期でもないしおかしくない?」

私も朝ごはんのサンドイッチを手に持ち答える。

「確かに。でもイケメンだったら何でもよくない??男子かな~?」

莉子・・・目がキラキラしてるよ。

「イケメンでもかわいこちゃんでもいいから仲良くなれるといいなぁ~・・・」

私はそう言いながらサンドイッチをむしゃむしゃと食べた。



「てかそういえば、今日は見たの?夢」

いきなり莉子が立ち止まり深刻そうな顔で聞いてくる。

「・・・うん。これで5日連続だよあの夢。全く同じだし気味悪いよね」

「何かの前触れだったりして・・・」

「ちょ、ちょっとやめてよぉ!もう!」

深刻そうな莉子を前にアハハと大げさに笑う。

「冗談だよー♪美優ってば相変わらず怖がりなんだから!」

莉子は私の背中をバシっと叩き大笑いをする。


「馬鹿にしないでよー本当に気味悪いんだからぁ・・・ほら!やばいってあと10分でホームルーム始まるよ!!走ろ!!」


「ちょっと、美優!待ってよ!・・・もー」


重いカバンを振り回し二人で学校へと駆け出す。




そう。

この時はまだ何が起こるかなんて予測も出来なかった。