京浜東北線で、鎌倉に、向かう。
昼時を、過ぎた頃の、日差しが、車内に、さしこむ。
「君は、凄いな。僕なんか、くらったよ。」
松柳流男は、顔の絆創膏を、撫でながら、吊革広告の週刊誌の文字を、読んでいる。
「無傷だったけれど。一人相手だから。二人相手で、大変だったね。」
私は、松柳流男が、吊革広告の有名人の恥部文章を、読んでいると、嫌だなと、思いながら、口を、尖らす。
以心伝心。
「政治欄だから、政治欄。スケベな方じゃないから。」
松柳流男は、ボケーとしながら、いう。続けざま、
「師匠に、空手の突きの延長が、ナイフ、そう叩きこまれた。拳銃だと、延長でも、どこまでも、垂直に、いく。アメリカでは、接近戦に、日本の武道を、多く、取り入れて、いるみたいだ。」
そして、
「訓練度低いと、血に飢えているが、訓練度高いと、血液浄化で、内臓が、良くなり、脳が、良くなり、内なる自分と和す。さらに、内なる自分と和す。それを繰り返し、最奥まで。よが、と同じ。外にあるもの、内にある。つながらないと、負け。」
政治欄を、必死にストレスかけて読みながら、話す松柳流男。
そういう、松柳流男に、
「鎌倉行ったら、何食べる?」
と、聞くと、
「カレーライス」
私は、
「ハヤシライス」
松柳流男は、
「じゃ、小町通りだな。」
と、いうと、政治欄のストレスから、解放された、安堵の笑みで、
「絶対平和心情、歓喜を、元に!」
政治欄は、戦争関係だった。
Fin
※小町通り:鎌倉