夢の続き

美穂と別れて、そんな日々を一ヶ月半ほど過ぎた日。

仕事でチームを組んでいた有里香さんとシゲさんの三人で連休を取り、箱根の温泉に行くことにした。

二月にはなっているものの僕たちは新年会と銘打って、温泉旅館に一泊することにしたのだ。


「最近のあんた、凄いよ」


夜の旅館で最初の十五分だけと約束した仕事の話になると、有里香さんは真剣な表情でこちらを見て口を開いた。

それにはシゲさんも大きく頷き、自覚が無かった僕としては妙に恥ずかしくなった。



美穂と別れてからの僕の生活は仕事と勉強だけの至ってシンプルなものだったため、どちらにも集中して取り組むことができた。

それが皮肉にも、入社以来の好成績に繋がったのだろう。

しかし、昨日貼り出された営業成績を見るまでは、自分がどの位置にいるかも分からなかった。

分からなかったというよりは、まるっきり興味が無かったのだ。


「勉強も私に対して遠慮が無くなって、本当に貪欲になったよね」


彼女はうっすらとだが、僕の立ち位置が変わったことに気付いているのかもしれない。

いや、彼女だけでなく、横にいるシゲさんも気付いているのだろう。

それでも、どの位置にいるのかまでは分からない、という感じの様子に見える。