お父さんと二人で歩くのは初めてで、歩くというよりは二人でいるということ自体が初めてだった。

『厳格な父』という僕のイメージ通りではあったが、『恥ずかしがり屋』という一面もあるためか、僕が家にお邪魔するときは必ずといっていいほど美穂かお母さんが一緒だった。



あまり人気のない通りを五分ほど歩いたところで、お父さんは急に立ち止まった。

駅から家までが徒歩十分くらいなので、ちょうど中間地点くらいのところだろうか。


「正直に言いなさい。

もう・・・うちには来ないね」


前を向いたまま、お父さんははっきりとした口調で僕に問いかけてきた。

玄関の二人を一分見たか見ていないかという時間で、どうやらお父さんは僕たちのことを見抜いていたようだ。

さきほどの視線はそういうことかと納得するとともに、流石は一人娘の父親ということに驚いた。


「・・・はい」


言い訳をするつもりはない。



全ては僕が悪いのだから、今ここで殴られても構わない。



そして



例え殴られたとしても、自分の決めた道を変えるつもりはない。