夢の続き

「別にあなたのことを家族に言って怒ってもらうとかそういうことはしないし、最後に体を交えるとかそういうことをするつもりもないわ。

ただ、一緒にいたいだけなの」


彼女はマグカップに口をつけ、小さく息を吹きかけてコーヒーを冷ます。

それからゆっくりとコーヒーを口に含み、味わうようにして喉へと通していった。

僕も彼女に続いてマグカップを手に取ると、熱いというよりは温めのコーヒーを口へと含んだ。

猫舌の僕に温めのコーヒーを淹れてくれるのも、これが最後だ。


「会えないまま、ぎくしゃくしたままで終わりたくないの。

あなたと過ごした時間はあんな形で終わりたくなかった。

最後はこうやって二人で一緒にいて、話をして終わりたかったの」


今の二人の時間が、ひどく懐かしく感じた。



しかし、二人が今まで過ごしてきた時間を考えると、懐かしく感じてしまった時点で駄目なのだ。

この時間が当り前と思えなくなってしまった時点で、僕たちの関係は終わりを告げてしまっていたのだ。