夢の続き

それにしても、彼女の部屋に入るのは久し振りだった。

部屋を見渡して一体いつ以来なのかと考えてみたが、すぐさま答えが出てこない自分に苦笑しかでてこなかった。

彼女はこの部屋で僕のメールをどんな気持ちで見て、電話をどんなふうに聞いていたのだろう。



二人にはもう関係のないことだ。

けれども、そんなことをさせてしまった、させられたということは、二人の記憶のなかにこれからも残り続けていく。



階段を上がってくる足音が聞こえ、何もやましいことをしていないが姿勢を思わず正す。

そして、彼女がコーヒーと洋菓子をお盆に載せて、ゆっくりとドアを開けた。

僕はそれを見て彼女の手からお盆を取り、彼女は部屋の端に置いてあった小さなテーブルを部屋の中央に置いた。

去年のクリスマスに僕が買ってあげたテーブルを何の抵抗も無く彼女は置いたが、二人の関係が崩れたこれからは使われるのかどうか分からない。

もしかしたら、これが最後なのかもしれない。


「早く置いたら」


テーブルの心配などをしていたら、お盆を取ってからずっと立ち続けていた。

彼女に指示されるように、ゆっくりと腰を下ろしながらお盆をテーブルの上に置いた。