夢の続き

カフェに入っても美穂の表情から笑顔が戻ることはなく、僕は彼女が遅刻したことの無意味な慰めを続けていた。


「そういえばさ、次の勉強だけど」


「ごめん」


二人の間で話が盛り上がらず、僕が勉強の話をしようとしたときだった。



今にも泣きそうな表情だった彼女の目から、堪え切れずに一滴の涙から零れ落ちた。

僕は周りの客や景色など目に入らず、ただその涙が頬を伝ってテーブルに落ちるまでを静かに見守っていた。


「その話・・・今はきつい」


そのときになって、ようやく気付いたんだ。



僕がとっていた行動が、彼女にどれだけ悲しませていたということを。

ドラマでよく仕事ばかりしていて家族を大切にできないというようなものがあるが、まさに今の自分が同じようなことをしていたのだということを。