夢の続き

「いえ、転職は考えていません。

ただ、何かを勉強したいとずっと考えていて、それが決まったというか」


実際に転職など考えていなかったが、もし今の時期に転職となるとチームとしてはかなり迷惑な話だ。

それを分かっていての彼女の表情だったのだろう、僕の転職がないという言葉を聞いて元の位置に身を戻して表情が和らいだ。

僕の隣では僕たち二人の状況を心配そうに見つめていたシゲさんも、それを見て小さくため息をついた。


「心理学・・・

心理カウンセラーといえばいいのか、とにかくそういうことを勉強しようかなっと」


取り寄せた何種類かの通信教育の資料を鞄の中から取り出し、二人にそれを手渡した。

シゲさんは僕が話しやすいように有里香さんの隣へと移動してくれ、僕は前だけを見ながら話す。


「これにしなよ」


有里香さんがある講座の資料を手に取り、真っ先に僕の目の前に突きつけてきた。


「おいおい、有里香。

お前、またいつもの勘ってやつかもしれないけど、さすがに」


「勘じゃないよ」


いつも仕事では何かと勘だと言っては、物事を即決してきた彼女。

それだけに僕もシゲさんもその勘が今回も働いたのだろうと思っていたが、口を真一文字に結んでそれを強く否定した。

彼女がそうするということは、どうやらよほどの自信と根拠があるらしい。