夢の続き

「あの、昨日はごめんなさい。

私、情緒不安定で時々ああいうふうになってしまうんです。

今は平気ですから」


「あっ、いや、僕のほうこそ何か大袈裟だったかなって思うし」


「いえ、助かりました。

あそこまでなったのは初めてだったので・・・

えっと・・・」


「何?」


「いや、まだ名前を聞いていなかったので」


この頃には本名に対する免疫が無くなり始めていたのかもしれない。

しかし、このときは二人して笑っていて、そのことに僕のなかに安堵感が広がっていった。


「叉渡(さわたり)いちかです」


「大戸謙介です」


僕たちはまるで仕事で挨拶するように自分の名前を言った。



続けて僕は自分のアドレスのアルファベットをしっかりと読み上げ、彼女は昨日のメモと照らし合わせた。

そこで、二文字目の『o』が『a』に間違っていたことが判明し、僕は誰もいない公園のベンチで座りながら笑顔で頭を下げた。


「昨日は本当に助かりました」


「いいよ、もうその話は止めよう」


「・・・」


「叉渡さん?」


「話してもいいですか」


それから彼女は堰を切ったように、様々なことを話し始めた。