夢の続き

一番線の階段を下りて彼女のいた方向へと向かうと、ベンチの端のほうに座り、真ん中辺りを軽く手で叩いて僕を呼んでいた。


「しかし、お前凄いな。

よくこんな得体の知れないおっさんを平気で横に座らせられるな」


「そんなこと言うなら、あなたのほうこそ凄いですよ。

まだ一度しかお話聞いていないのに、あんなに親しげに声を掛けてくるんですもん。

てっきり、学校の友達かと思っちゃいました」


不思議だった。



僕は女性に免疫が強いわけではないのに、確かに彼女の言うとおり、会うのは二度目という女性に無意識とはいえ普通に話を掛けることができた。


「まあ、別にいいですけど。

それよりも、もっと重大なことがありますし」


今更になって女性に対する恥ずかしさが出てきたことと、重大という言葉に対して過剰なまでに反応してしまい、僕はおねしょをした幼児のようにたじたじになってしまった。

それを彼女に気付かれないようにと、その重大なことを考えているふりを僕は一生懸命していた。


「名前。まだ、聞いていませんよね」


「えっ、そうだっけ」


「そうですよ。

私が一方的に言っただけで、あなたの名前を聞いていませんでした」


何だそういうことかと、どこか拍子抜けのような感じになった。

重大というから、仕事の癖で僕に何か不備があったのかと思ってしまった。