夢の続き

シゲさんが途中で足取りだけは確かなものになったおかげで、終電には十分間に合った。

上りの終電ということもあり電車の中はまばらで、座席はかなり余裕がある。

だけど、僕はドアの前に立ち、ほとんど真っ暗で景色などあまり見えない窓の外を眺めていた。


  逃げるなよ


去り際に言われた一言が、頭から離れない。



厳しさの中にも優しさがあり、優しさの中にも厳しさがある。



同じようなことかもしれないが、それらはちょっと違っていると僕は思う。

さっきの言葉は、まるで両方重なっているようだった。



あのことに対して逃げているというつもりはない。

しかし、正面で向き合おうとしていないのも事実だ。

もう過去のことだからと思い出さないようにしている、それが逃げているということなのだろうか。

それならば忘れないようにしている、それが向き合っているということなのだろうか。