夢の続き

十一時四十分


どうにかして十五分で彼を部屋に送り、全力で走れば何とか終電には間に合う。

そのためには、このベンチでそんなに長くは座っていられない。



こんなときに有里香さんでもいれば「おい、堂岡」と怒鳴って、少しは意識がはっきりとしてくるのだが。


「・・・ごめんな」


突然立ち上がり、小さく呟いた。



僕は慌てて肩を貸し、そのまま歩き出した。



さっきよりは足取りは軽く、正確になっており、部屋まで十分も掛からずに済みそうだった。


「いいですよ。

いつもシゲさんにはお世話になりっ放しですから、こういうところで返していかないと俺は借金大王になっちゃいますから」


お互いに苦笑しながら線路沿いの道路を歩き、僕は小石を二度ほど蹴った。

三度目を蹴ろうとしたが見失ってしまい、程よい大きさの新しい石を目で探した。


「そうじゃない」


「えっ」


「去年から有里香とは一度も会っていない。

けど、お前はあいつに会った。

お前があいつと会うってことは、まだあのことを完全に吹っ切れたわけじゃないんだろ。

それに気付いてやれなくて、ごめんな」


彼の言葉が僕の胸を強く抉ってきた。



優しさから出てきた言葉。


それでも僕の胸は温まるどころか、強烈な痛みさえ感じるようだった。