夢の続き

厨房を覗くと、やはりおじちゃんは仕込みを続けたままだった。

おじちゃんと呼び掛けたとき、こちらを振り向いて小鉢に入ったキムチを持ってきた。


「僕もいいと思うよ。

そういった直感は凄く大事にしなければいけないと思う。

謙ちゃんの言う賑やかさが違うというのも、何となくだけど分かるような気がするしね。

ただし、物件を選ぶときはよく考えて、周りの人にもよく相談して決めるんだよ」


最後の言葉が凄く胸に圧し掛かってきた。



おじちゃんはこんなところで焼肉屋をやっているが元プロ野球選手だ。

表立ってそれを言うことはないが、一度だけ仕事に失敗した僕にそのことを話してくれた。

プロ入りは周りからは反対されたが、結局は強引に自分の意思で入団した。

「鳴かず飛ばずのピッチャーで、四年でクビだったよ」と笑い飛ばしていたが、何一つ無駄な経験は無いということを慰めにしてくれて、物事は自分一人で飛びついてはいけないということを教訓にしてくれた。