結局は誰が悪いかと聞かれれば、全部僕が悪いことと言ってしまえば簡単に納まること。


「なあ、こんな話を最後まで聞きたいか」


僕は顔を上げ、城野月柚葉に問い掛けた。



自分の答えを相手に求め、言わせようとする僕は卑怯な男だ。

それでも、僕はこの話を最後まで話したいと思わないし、話したところで何にもならないと思っている。


「そんなに自分一人が悪いと思わないでください」


彼女は遠くを見つめ、それでもはっきりとした口調でこちらに投げ掛けてきた。



その目はとてもよく澄んでいて、世界中どこまでも見渡せるような、そんな輝かしいものに見えた。


「さて、じゃあ今日はこの辺で失礼しようかな」


駅のアナウンスが流れるとともに彼女は立ち上がり、やって来る電車に乗る準備をした。

僕はそんな彼女を引き止めようと、慌てて立ち上がり手を伸ばすが、いとも簡単にすり抜けていく。



最後、こちらを振り返った彼女は少しだけ微笑んでいるようにも見えた。