夢の続き

夕方の六時近くになり、閉館を知らせる音楽とアナウンスが館内に響き渡る。

四時間という時間のなか館内で実際に二人が交わした言葉というのは一言もなく、僕たちはそれぞれの本を所定の位置へと戻した。



彼女の元へ戻ろうとするとき、今まで目にも留めなかった心理学の本の前で立ち止まってしまう。

二人のときは忘れようと、頭を横に振り、早歩きで彼女の元に向かった。


「あの詩集・・・」


久し振りの言葉に詰まってしまい、咳払いをすると、彼女は立ち止まった。

三月上旬といえど夕方六時は日没が済んでおり、図書館の前の広場に設置してある外灯は全て灯っていて、どこか幻想的に見える。