夢の続き

静かな図書館の中で、僕たちはそれぞれ好きな本を探しに別れた。

僕の好きな作家は貸し出しされているものが多く、手元にあるものは一度読んだことがある本だけだった。

少しだけ迷った挙句、僕は向かいの棚に並んでいる作家の本を手に取り、ここでの予想外を楽しむために荷物を置いた席に戻る。



初めて来た図書館で配列が分からず十分くらい掛かってしまったようで、席に戻ると彼女は既に一冊目の本を読み始めているところだった。

机の上にはもう一冊置いてあり、何度もここに足を踏み入れているのだろう。

その姿が僕にはとても愛おしく見える。



いちかは仕事を辞めた。



二週間前、職場での彼女の限界が越え、事情を説明したうえで、その日のうちに職場を後にしたそうだ。

無理を言ってその日に辞めてしまったことで会社に迷惑を掛けたと、彼女は酷く泣いた。

事情を何も知らない第三者や世間が見れば、自分勝手な行動と思われるだろう。

しかし、何も言わずに次の日から来なくなる社会人がいるなかで彼女が取った行動は十分に会社のことを考え、自分勝手なことではないと思う。