夢の続き

「いや、楽勝、楽勝」


と強がり、僕は彼女よりも前を歩いた。

信号が青で、勢いそのままに階段へと突入できたのは唯一の救いだったかもしれない。



階段を上り切ったところにロータリーのような広場があり、そこの一角に薄い茶色のような外壁の図書館があった。



出入り口の前で、外壁を見渡す。

やはり、何色かどうかはっきりと言えないような色で、それがどこか先程の自分の感情のようだった。


「何色って言えばいいんだろうね」


心の中で思っていた言葉が思わず口から出てしまい、僕は我に返ったように慌ててしまう。

それが彼女にはまたしても可笑しかったようで、口を抑えて声が漏れないように必死で堪えて笑っていた。


「これは焦香(こがれこう)だと思いますよ」


「へえ」


返事はしたものの、僕はその色の名前を初めて聞いた。

茶色とはまた別の色なのだろうかと考えてはみたものの、カラーコーディネーターのように色彩の知識が豊富でなければいけない仕事をしているわけでもないなどと、自分に言い聞かせて図書館の中へと入った。