夢の続き

「気をつけなよ」


最後まで言い切ったときには、彼女はとっくに僕の前を歩いていた。

この急な坂道を彼女はスキップでもしているかのように、笑顔で進んでいく。

それにしても本当に急な坂道で、箱根駅伝の五区はこんなところを走るのだろうかと、今の状況とはあまりにもかけ離れている想像をして自分で笑ってしまう。

そして、冷静に「下りは六区だろ」と呟き、彼女を追うようにして下りていく。



右側に墓地、左側に公園がある十字路に達したところで、二百メートルは続いた坂道は終わりを告げた。

下から眺めると、改めてこの坂の急な斜面が分かる。


「帰りは間違いなくバスだな」


意味もなく右拳を握り、僕は固く誓った。

そのまま振り返って進行方向を見ると、僕は思わず「げっ」と叫んでしまった。

やや大きめの通りにコンビニがあり、その信号の向こう側には階段が見えたのだ。


「まさか、あれを上るんじゃ・・・」


「もちろん」


僕は大きくため息をついてしまう。



駅から階段を上り、先ほどは坂道を下り、今度はまた階段を上る・・・



練習場所に困っている体育会系の部活かサークルがあったら、大喜びしそうなコースを僕たちは辿ってきている。

彼女は地元だけあって、このコースに慣れているのか平気そうな顔でこちらを見ている。