夢の続き

自慢ではないが、僕は彼女に好かれていた。

大学時代の彼女が取っている行動を見れば、誰が見ても明らかだった。

しかし、僕は当時から美穂と付き合っていたので、彼女の気持ちに応えることができなかったのだ。

それでも彼女は諦めてはくれず、僕が大学を卒業するまで何度も遊びの誘いや、誕生日やクリスマスなどの世間的に大きいイベントがあるときは必ず告白をしてきた。



つまり、この時間帯からの彼女の電話は、はっきり言ってしまえば嫌な予感しかしなかった。



それでも鳴り響く携帯電話に、仕事のときと同様に留守番電話に設定しておけばよかったと後悔した。


「もしもし」


在学中よりは行動の数や、連絡は格段に減ったが、これが初めてということではなかった。

そのため、僕の声は第三者が聞いたらどこか震えていたかもしれない。


「・・・先輩」


背筋が伸びる。



嬉しそうな、何かを喜んでいるように聞こえる声が、耳を突き抜けた。



なるべく寝ている二人に迷惑を掛けないようにと縁側へと移動し、先ほどの綺麗な月明かりを浴びる。

けれども、先ほどと同じような穏やかな気持ちにはなれなかった。


「こんな時間にどうしたの?」


当たり障りのない言葉を選び、僕は彼女からの返事を待った。