夢の続き

「それで相談って、何なの」


ランチを食べ終えて、おじちゃんが焼き肉のあとにはあまり相応しくない組み合わせに思えるコーヒーを出してきた。

そういえば、ここでコーヒーを貰うのは初めてだ。


「場所を変えたほうがいいなら変えるし、変えないほうがいいなら変えないし」


ここにずっと居てはおじちゃんに迷惑ではないかと厨房を覗き込むと、その表情が『大丈夫』というサインを送っていた。

特に場所を変える必要もないし、彼女も同じような考え・・・

それにおじちゃんが大丈夫というならば、いちいち新しい場所を探す手間が省けたものだ。


「おじちゃんに聞かれて拙い話でもないし、むしろ聞いてもらったほうがいいのかもしれない・・・

じゃあ、お言葉に甘えてここで」


彼女はこちらを見つめ、おじちゃんは仕込みをしながらだけど耳だけはこちらに向いているというのが分かった。


すうっと息を吸い込み、それをできるだけ小さく吐き出した。


「実は引っ越しをしようと思っています」


自分なりに意を決して言ったつもりだったが、二人の反応はどこか拍子抜け、肩透かしをくらったかのような表情をしていた。