駅前のロータリー。 一台、黒いセダン。 ハザードランプを光らせて、 私を待っている。 笹井さんは、 ハンドルにもたれて本を読んでいる。 窓ガラスをノックすると、 ドアを開けてくれた。 「乗んな、お昼食べた?」 黙って首を振ると、 私がシートベルトを閉めたのを 確認して、ゆっくり発進した。