笹井さんがカーナビから目を離す。 ハンドルに身体を預けて、私を見る。 「ここ、甘えるところだから、」 車内はしんと静かになって。 雪の上を歩く人の足音が、 窓を閉めていても響いてくる。 笹井さんは黙って私を見ている。 「あの…?」 「住所」