何かのスイッチがはいったのが自分でもわかった。

吸い寄せられるように彼女の細い首筋に顔を近づけていく。





「ちょっと!やめてよ!」

「無理」

「ほんとやめてってば!」

「やめない」





俺は彼女を“女”として意識してしまった。

彼女に俺を“男”として意識してほしい。

それは意地でもなんでもなくて。

今となってはただの願望だった。





「う…嘘なのっ!」





瞬間。

彼女の声が耳を掠めた。

…は?嘘?

何が?

少しでも動けば彼女の首筋に触れそうな距離にある自身の唇は。

その言葉に止められた。

いや。

厳密にはその後の彼女の言葉に、だ。





「…キュンキュンしない、なんて…嘘」

「は…?」

「嘘なのっ!」





嘘。

何度も彼女が言う単語が頭の中をぐるぐるする。

首筋に埋めようとしていた顔を上げ、彼女と視線を合わせた。

が。

彼女は合わせようとする視線を逸らそうとした。