「…もっとキュンキュンさせてやろうか」

「これ以上されたらキュンキュンどころか心臓壊れる」

「そんなこと言われたら逆に俺が壊れるわ」





15分前の俺が同じことをしていたら。

バカだの変態だの罵声を浴びせられ、その上彼女に飲みかけの缶ビールを投げつけられた挙句。は?

さらに雑巾を投げられ、掃除をしてから帰れと怒鳴られる。

そんな酷い目にあっていたかもしれない。

いや、その前に。

まず男と女の空気になるはずがなかった。

…が、しかし。





「俺のこと好きなの?」

「空気読めば?」

「勘違いだったらキレたお前に殴られる」

「殴らないし!失礼な!」

「それはわかんねぇな」

「だいたい殴られるようなことしようとしてるわけ⁈」





あー、うるせぇうるせぇ。

空気読めっつーならお前が読みやがれ。

可愛くなったり上からきたり。

なにがしてぇんだ、お前は。

だいたい今、誰の腕の中で吠えてるかわかってんの?