パパとママはこの町でも有名な科学者だ。
私が生まれるずっと前から、月について研究している。

パパは私が物心ついてまもなく月に行った。

あれからもう7年。

来年から中学生になるのに
パパは帰ってこない…。



「ミグ、遮光ゴーグルは持った?」


「うん…よいしょっと」

ゴーグルを首にかける。
パパがくれた赤いゴーグルだ。


オトツレ草の花は強い光をはなつ。
遠めで眺めるくらいならいいが、歩くときは遮光ゴーグルを着用しなければならない。


「ゴーグルよし、ブーツよし」

「ミグ、クリーム塗った?」

「…。」


ママは笑って、月焼け止めのクリームをくれた。