で、結局私は女子トイレを調べてはみたものの、千早も湊もいなかった。


「浅井君、そっちはどうでしたか?」

「ううん、湊君も千早ちゃんもいなかったよ。

一体、どこにいっちゃったんだろうね?

深井さんを置いていくなんて……あの二人なら、深井さんと一週間会えないだけで死亡しそうな深井さん厨だし……」

「…」

「ん?どうしたの?」

「いや、気になっていたんですが………。

なんで、『深井“さん”』なのでしょうか?

何故、同学年なのにさん付けするのでしょうか??」

「え、何故って言われても」

「だって、おかしいじゃないですか。

57ページまでは私のことを『深井』と呼び捨てで呼んでいたのに、

それ以降は『深井さん』とさん付けで呼ぶようになって………」

「やめて、作者のミスとか俺聞きたくない!」


フードを被って、耳を塞いでうずくまる浅井君。

しかし、現実からはそう簡単に逃げられない。