深井さんと浅井君

そう。

何故、浅井君はわざわざクラスの女子全員に、毎日昼休みに交際を求めるのか?

そんなにも恋人が欲しいのか?

というか、全員に一度フラれているのだから、潔く諦めたら良いものを…。


「まあ…顔が良くて性格が残念っていう点では、深海さんも同じようなものですけれどね…」


ふう、とため息を吐いて、千早が言った。


「私の何処が顔が良くて性格が残念だと言うの!?

100%の確率で有り得ないわ!

そもそも、私は顔が良くないわ。

逆黄金比率だわ。

1000人にアンケートを取ったら、1000人が可愛くない、と答えるであろうこの容姿の、何処が良いのかしら!?

ていうか、私ってそんなに性格が悪いの!?」


本を胸にして、千早に詰め寄る。


「うーん、何と言うかまあ……。

髪の毛が膝まであるせいで、野暮ったい印象を醸し出しているんですよねぇ…。

後、スカート長くないですか?膝下って………ウチの学校は校則が比較的緩いんですから、もっとフリーダムに行きましょうよ、フリーダムに!」


冷や汗を何故かかきながら、千早が答えた。


…そう。

確かに、千早の言っている事は98.02%の確率で正しいと言える。


けれど………。


「けれど、もしかしたらスカートを膝上にまで上げていたら、風紀担当の先生が実はこっそり内申点を毎回下げているのかもしれないと思うと恐ろしくて恐ろしくて、堪らないのよ………!」

「いやあ、今時、そんな糞真面目に点数下げてくる先生、いないと思いますけどね……」

「いいえ、意外と侮れないわ」

「そうですかねぇ…」




頭をポリポリ掻きながら、千早は面倒臭そうに言った。