深井さんと浅井君

心の中でそう突っ込みを入れながら、私は教室を出た。


私は、図書室へ向かった。

図書室は良い。

皆静かな為、静かに、落ち着いた心で読書をする事が出来る。


読書というのは、心の運動だ。

砂漠の上で走るよりも、ちゃんとしたグラウンドの方が走りやすいのと同じで、

読書をするにも、適した場所がある。

あのまま、浅井君と97%程無駄な会話をしながら読書をするのは、適していない。


とまた私は何故かあまり関係の無い読書について深く考えていると、すぐに図書室に着いた。


「深海さん。

今日も浅井先輩から逃げてきたんですか?」


まず、私に話し掛けてきたのは、後輩の岡山千早(おかやまちはや)。


肩まであるふわふわの髪の毛。

くりっとした目。

白い肌。

小さい身長。

正に、“女の子”。


おそらく、100人中97人が「可愛い」というだろう。

残りの3人は知らない。


「浅井君は今日もうざいわ」

「え~?

でも、浅井先輩は性格はかなり残念ですけれど、顔は良くないですか?」

「確かに彼の顔を見た79人中71人がイケメンだと答えそうな容姿をしているけれど、性格が残念過ぎるわ」

「でもでも~、そんなに深海さんに執着してるって事は、深海さんの事好きなんじゃないんですか?浅井先輩」

「そんな事ない確率はかなり高いけれど、もしそうだとするのならば、私はきっぱり交際を断るわ。

ていうかさっきも断ってきたところよ。

そもそも、クラスの女子全員に、毎日昼休みに交際を求める、という奇怪な行動をするような男の神経が分からないわ。

あいつは一体何なの?阿呆なの?阿呆なのね?」