深井さんと浅井君

そんなこんなで色々な形で、このクラスは浅井君に振り回されている。


放課後、私は家に帰っている途中、浅井君に何故か鉢合わせしてしまった。


「よー!深井。

俺と付き合ってくれ」


…まだ懲りてないのか、この浅はか野郎は。

今すぐ殴りてぇ。


「…」


私らしくもなく、深く考えずに、取り敢えずスルー。

というか、深く考えても、多分スルーするのが一番マシな結果に終わるという結論に至るだろう。


「おいおいおい、ちょっと深井ー。

この俺が死海に入らないってのかあ?おいおいおい」


“死海”じゃなくて“視界”だ。

さっき教えてやった筈なのに、もう忘れてやがる。

やはり、脳味噌も浅いようだ。


「あ~もしかして、死海の意味が分からないのかな~?

見えてる犯意の事を言うんだぜ!」


…“犯意”じゃなくて“範囲”だ、それは。


というか、うざい。


またもや、浅井君をスルー。


した、が。


「っ!!??」