でもそんなある日、私はおじいちゃんの部屋である物を見つけた。
それは今まで見たことのない不思議な形をしている。
四角のハコの上に大きなトランペットが上を向いている。

「ねぇ、おじいちゃん……」
「…うん?どうしたんだい、エリナ」


私はその不思議な物を指さして言ったんだ。

「これ……なに?」

おじいちゃんは、嬉しそうに目を細めた。

「エリナ、それはちくおんきって言うんだ。昔はそれで音楽を聞いていたんだ」

「ちくおんき…?こんなので音楽聞けるの!!すごーい…」
「これはおじいちゃんの一番大切な物なんだよ」
おじいちゃんはやさしくそれをさすっていた。
その顔は我が子を慈しむ父親の顔に見えた。

「これはまだ動くんだよ……」

おじいちゃんはひょこひょこしながら、れこーどっていうCDよりも大きな円盤を引き出しから取り出して、ちくおんきにセットした。