「じゃさ、その山…」

「山岸」

「そう、その山岸に言っておいて。私のしるふに手を出したらただじゃおかないからって」

「手って?」

胡乱気だったしるふの瞳が、ふと不思議そうに丸くなる

「いいから。言えば分るから」

「…わかった。言っておく」

「ん、じゃ、お疲れー」

そう言って消えていく背を見送ってから院内の外に出る

途端吹きすさぶ12月の冷たい風

思わずマフラーをしっかりと巻き付けて、帰りは絶対に海斗だと固く誓った


駅前はいつも通る帰路よりも街灯が多くて華やかだ

人だって多い

もう少しでクリスマスなこともあってイルミネーションもされている

その中の少しお洒落なバーが同級会の会場だった

しるふが付く30分前には始まっていたので、着いた時にはすでに少しほろ酔い

「しるふ!!誰か医者を紹介して!!」

としるふの肩に腕を乗せるは、中学の時からの付き合いである章子