妻との間には子は無く新井には彼等がいつしか自分の子供のように想うようになっていた。
 誰からも愛される雰囲気を持つ美男美女の似合いのカップルだったが、若い二人に何かが起こり別れが訪れると店へも足が遠のいていた、そんな二人が二十年前のクリスマスイブで顔を合わせた。
 そこで出た結論が二十年後の今日…クリスマスイブに此処で再会を果たすというのであった。

 何があるのかあったのかは、新井には判らない事だが我が子の様に想う二人の為に新井は店を維持し続けた。

 二人が掛けていた奥のテーブル席で涙を流しながら彼の話しをじっと聞く彼女…彼も溢れる涙を拭う事無く話し続けていた。

「こんなもの預けやがって…」

 新井はカウンターの中に戻ると、自宅で大切に保管していた二十年前のクリスマスイブにお互いが受け取る筈だったプレゼントを店に持ち込みしみじみと微笑みながら眺め呟いた。

「二人は必ず現れる!」
 二十年の永い時を隔ても新井は、そう確信していた。