タバコの熱で頬っぺたにジリジリと痛みを感じたけど、私は目を反らさなかった。
至近距離でじっと城川を睨んだ。狐のような細い目。虚勢を張ってはいるけど、この男は瞳の奥に芯がない。
むかしから私を取りまいている男たち……例えば尊兄ちゃん……とは比べ物にならない小物や。
兄ちゃんはいつか言っていた。目の奥に魔物がいるかいないで、相手が本物かどうかは分かるって。
「生憎、うちはヤクザが死ぬほど嫌いなんや。アンタみたいなヤツも」
「……テメェ」
城川の目玉が泳いだとき、部屋のドアがノックされた。
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